矯正治療は痛い?痛みの原因と対処法

はじめに

矯正治療を始める際に、多くの方が気になることの一つが「治療中の痛み」です。歯を動かす過程で生じる痛みは避けられませんが、なぜその痛みが起こるのか、どれくらい続くのかを知っておくことで、治療に対する不安を軽減することができます。また、痛みに対して適切な対処をすることで、痛みを和らげることも可能です。今回は、矯正治療の痛みの原因と、その対処法について解説します。

矯正中に生じる痛みの原因

歯を動かす

矯正治療では、歯を希望する位置に移動させるために持続的な力がかけられます。その過程で、歯とその周囲の組織に軽い炎症が起こるため、痛いと感じる方が多くいらっしゃいます。人によって痛みの感じ方は異なり、必ずしも強い痛みが出るわけではありません。

装置が唇や頬に当たる

矯正装置が口内で擦れ、唇や頬に傷や口内炎を引き起こすことがあります。特に治療が始まったばかりの頃は、装置に慣れていないため、食事や会話の際に痛みを感じやすいです。矯正用ワックスを使うことで装置と粘膜の摩擦を軽減し、痛みを和らげることができます。

硬い食べ物を噛む

矯正治療中に硬い食べ物を噛むことで刺激が加わり、痛みを感じることもあります。装置を装着したばかりや、調整後は特に力が強くかかるため、硬い食材は避けたほうが良いでしょう。

歯の移動に伴う痛みのメカニズム


矯正治療では、歯を目標の位置に向けて徐々に動かすために、矯正装置が取り付けられます。この歯を動かす力により、周囲の骨や歯茎が軽い炎症を起こします。具体的には、力がかかる部分の歯槽骨は再吸収され、一方で反対側の骨が再生されるという骨代謝が進行します。この代謝が正常に行われることで、歯を健康に動かすことができるのです。このように、歯が移動するための力は時間をかけて加えられ、徐々に適応していきます。そのため、最初の数日間は特に痛みを感じやすいですが、通常は数日から1週間の間に和らいでいくことが多いです。

矯正中の痛みが起こるタイミング

矯正治療の初期

初めて矯正装置を取り付けた際、歯が移動し始めるため、痛みを感じることがあります。この場合には、数日から1週間ほどで痛みが和らぐことがほとんどです。この痛みは自然な反応で、歯が動き始めている証拠とも言えます。

定期的な調整

目標の位置に歯を動かすために、再度調整を加えられる際に痛みを感じることがあります。これにより、再び強い力が掛けられ、歯根元や周囲の組織に負荷がかかります。歯が引っ張られる位置に移動すると徐々に痛みが和らぐことが多いです。痛みの程度は人によって個人差がありますが、目標の位置に移動していく過程の痛みなので、問題ありません。

矯正の痛みの経過について

治療を始めたばかりの頃、装置を装着してから1〜2日間が最も痛みを感じやすい時期です。しかし、ほとんどの方はそのピークの後、1週間程度で痛みが落ち着きます。矯正が進み、装置の調整を進める際にも再度痛みを感じやすいですが、初回の時と同様に数日経つと次第に痛みは軽減していきます。強い痛みが長く続く場合には、装置を調整して力を弱めることもできます。辛いと感じる時には我慢せずに担当医に相談するようにしましょう。

矯正治療中の痛みを軽減する方法

痛み止めの服用

鎮痛剤を使用すれば一時的に痛みを和らげることができます。鎮痛剤は歯の移動を妨げる可能性があるため、必要な時にだけ使用することが重要です。また、歯科医院でも処方されますが、市販の鎮痛剤を使用する際は、事前に担当の歯科医師に相談しましょう。

矯正用ワックスの使用

装置が当たって口の中の粘膜を傷つけてしまう場合、矯正用ワックスを直接当たる部分に張り付けることで、摩擦を軽減します。

歯科医に相談する

気付かないうちにワイヤーがズレていたり、見えにくい箇所のブラケットが外れていることもあります。このような場合は、頬や唇に擦れて傷になるリスクがあるだけでなく、矯正の進行も妨げてしまいます。違和感を感じた時には早めに担当医に相談し、調整してもらうようにしましょう。

矯正治療中の食事の注意点

矯正治療中は特に痛みが強い時期には、柔らかく消化しやすい食べ物を選ぶとよいでしょう。装置に負担をかけやすい硬いものや粘着性のあるものは避け、食材を小さく切ったり、蒸す・煮込むなどして食べやすくする工夫をすることで、様々な食材を取り入れて栄養価を維持しながら治療を進めることができます。忙しい方は、ヨーグルトやプリンなど、コンビニでも手軽に購入できる柔らかい食べ物もおすすめです。

◎矯正中に食べやすい物:スムージー、スープ、ヨーグルト、柔らかい麺類など

まとめ

矯正治療中に感じる痛みは一時的なものがほとんどで、自然な反応です。慣れるまでには数日かかることもありますが、きれいな歯並びを手に入れるための一歩ですので、少しの間一緒に頑張りましょう。痛みが生じても、適切な対処をすれば快適に矯正治療を進めることができます。治療中の痛みが気になる場合は、無理をせず歯科医に相談しながら進めましょう。